« 2011年10月 | トップページ | 2012年05月 »

2011年12月

LTEスマートフォンの時代が到来した!

 いよいよ、NTTドコモから、Xi(クロッシー)対応のスマートフォンが発売開始されました。Xiは3.9世代通信方式とかスーパー3Gなどと呼ばれる、既存の3Gサービスの5〜10倍の通信速度でデータ通信が可能なLTE方式を採用した新しいネットワークです。どうも市場ではauでも取り扱いが始まったiPhone 4Sばかりに目が奪われがちですが、私は技術的にはこのXi対応のスマートフォンが気になって仕方ありませんでした。従来の3Gネットワークと別の通信インフラを使っていることで、Xiが普及すればネットワークの混雑の解消にもつながります。Xi自体は昨年12月からスタートしていますが、これまでデータ通信端末しか発売されてきませんでした。しかし何よりこの新しい通信方式に対応の、通話も可能な端末がいよいよ発売開始になるとうことで、ワクワクしています。

 ケータイサービスはこれまでおよそ10年程度のサイクルで無線通信方式に関する技術革新があり、世代交代を続けてきました。第1世代(1G)のアナログ方式、第2世代(2G)のデジタル方式ののち、現在主流の第3世代(3G)は2001年に商用サービスを開始したFOMA(W-CDMA方式)から始まりました。すなわちFOMAスタートから10年を経た今年、いよいよ次世代方式となる(3.9世代という中途半端な表現が好きになれないが)LTE方式が本格的に商用化されたということになります。このLTE方式はKDDIほか他の各キャリアでも採用を決めており、今後主流の通信方式となっていくことは間違いありません。

 このLTE方式は、日本のほか、北米や韓国などでもスタートしています。じつはご縁があって、先月ソウルに渡航し、日本よりも一歩早く発売開始されていたLTE方式のスマートフォンを現地で体験させていただく機会を得ました。私が試用したスマートフォンは、NTTドコモが近日発売開始するOptimus LTE L-01Dと同型の現地モデル。LTE方式と言われても、外観はこれまでの既存のスマートフォンと大きな違いは無く、目新しさを感じるものでもありません。ところが、アプリやサイトなどのコンテンツを利用すると、その実力をひしひしと感じるのです。

 たとえば、マップの表示などではかなり重宝します。スマートフォンが一番便利だと感じたのはマップなどの地図機能です。従来のケータイでは、地図アプリにたどり着くまで手間がかかるので、あまり使う機会も無かったものの、スマートフォンではマップのアイコンをタップするだけですぐにその場所の地図や航空写真を表示させることができます。この使いやすさから、マップ機能を愛用されている方も多いはず。この地図表示が、LTE方式ではじつに軽快なのです。サクサク、スイスイと、地図が表示されるのです。拡大縮小などすると、これまでのスマートフォンではそのたびに地図データの読み込みがあり、画面に表示されるのを待っていたと思うのですが、LTEならば表示は一瞬です。しばらくLTEスマートフォンを使って軽快さに慣れてしまうと、従来の3G方式スマートフォンに戻れなくなってしまうほど。

20111202_01.jpg
<アンテナマークの横に表示されている「LTE」に注目。地図の表示がじつに軽快>

 ちなみに、韓国や北米など、世界ではLTE方式のことを第4世代(4G)と呼んでいます。この世代の表現も定義はあいまいで、日本では既存の第3世代の技術を活用し発展させながら限りなく第4世代の通信速度に近いということで3.9Gとしていますが、ITU(国際電気通信連合)ではWiMAX(日本ではUQコミュニケーションズが採用)やHSPA+(同じくソフトバンクモバイルやemobileが採用)も4Gと呼称してよいとする声明を発表しています。なるほど、そう定義されてしまうとすでにわが国はすでに4G大国なんですね。

 わが国では、あえて表にはLTEという通信方式名称やその技術よりも、Xiというブランドの認知に努めるような傾向のプロモーションが多いようです。しかし、ブランドの浸透も重要なのですが、それがどれだけのポテンシャルを持った技術なのかを知っていただくような機会も重要でしょう。ソウルでは、若者が集まる繁華街・明洞(ミョンドン)で、LTEがどのようなものかを実体験できる特設ブースを用意し、通りがかりの市民に積極的にLTEという技術を肌で感じてもらう取り組みが行われていました。とても分かりやすく、その技術的な素晴らしさに多くの市民が驚嘆していました。日本でも、こうしたプロモーションの手法は参考になるのでは。

20111202_02.jpg

20111202_03.jpg

20111202_04.jpg
<日本でいうと渋谷に相当する若者の街・明洞。ここをLTE訴求のキャンペーンがジャックしていた>

国産スマートフォンの魅力を再確認!

 ちょうど1年前あたりからでしょうか、おサイフケータイやワンセグなどを搭載した国産スマートフォンが発売開始され、そうした国内サービスに魅力を感じて製品に飛びつきながらも、じつは海外メーカー製モデルとの性能や品質の差に俄然とし、購入されてからがっかりされた方も少なくないのでは? じつは私もその一人でした。iPhoneをはじめ、サムスンやHTC製のスマートフォンは快適に動作するのに、国産メーカーのものはどうしてこう「もっさり」しているんだろうと…

 しかし、それももはや昔の笑い話になりそうな感じです。今冬の国産モデルはがんばっているなという印象です。たまたまauの最新国産スマートフォン【DIGNO(ISW11K)】をお借りする機会があったので、その印象をご紹介しましょう。

20111222_01.jpg

20111222_03.jpg
<京セラ製DINGOを大阪で試してきました>

 DIGNOは京セラとして初めて国内向けに供給するスマートフォンです。国内でスマートフォン初参入というと、ちょっと躊躇される方もいらっしゃるかもしれませんが、じつは京セラはこれまで「SANYOブランド」で北米向けにandroidスマートフォンを供給してきており、そこで十分な開発経験と実績を積み上げた上での国内展開ということで、DINGOは完成度も高い端末として仕上がっていました。

 おサイフケータイやワンセグなどの日本独自の機能はもちろんのこと、最大の魅力は高速通信WiMAXに対応し、UQコミュニケーションズが展開するWiMAXのネットワークを利用しでデータ通信が可能なことです。さらに防水機能も備えています。スマートフォンは、時に悪天候の中で利用することも多く、雨の中でも安心して利用できるという点で、今後防水機能を備えたスマートフォンは注目されていくはず。

 ちなみにDIGNOという名称は、京セラが1996年4月に当時のIDOとセルラー(共に現在のau)向けに供給したT214に冠されていたネーミングです。そのT214はディスプレイにサファイアガラスを使用するなど、惜しみなく高級感をかもし出した京セラの自信作でした。その愛称が再びスマートフォンに冠され、登場してきたのです。それだけ京セラはこのDINGOに社運をかけているのでしょう。

 前回、LTE方式のデータ通信について触れましたが、WiMAXによる通信はスペック上は劣っても、実際の使用感は同等以上! しかも国内ではWiMAXのほうが通信可能エリアははるかに充実していますから、このDINGOによるコンテンツや各種アプリの利用は実に快適でした。前回同様、マップ機能を実際に使ってみると、軽快に地図が表示されていきます。また、3G通信に比べ、上りのデータ通信速度が高速なので、画像や動画のファイルアップロードも快適です。たとえばfacebookやYouTubeなど、スマートフォンが普及することで日常的に大容量の画像や動画データをアップロードするような機会も増えています。そうした使い方をする際に、WiMAXは快適で良いですね。

20111222_02.jpg
<画像のアップロードも速い!>

 そして、DINGOはWiMAX通信を利用したテザリング機能を利用することもできます。万が一WiMAXのエリア外だったとしても、3Gネットワークでテザリングできますから通信エリアで困ることもありません。しかもその利用料金は、スマートフォンの月額利用料に525円プラスするだけ。しかも1台のスマートフォンで、最大8台の機器を同時接続できます。モバイルWiFiルーターの月額使用料も案外馬鹿になりません。その機能がプラス525円で利用できるとなれば…、もはやモバイルWiFiルーターは不要ですね。(なお、2012年1月まではキャンペーンを実施中で525円が無料になります)

 おサイフケータイ機能は国産スマートフォンではもはや標準的機能となりましたが、やはりその真価が発揮されるのは交通系カードとしての利用でしょう。モバイルSuicaがあればじつは全国のJRで利用可能ですし、西鉄や福岡市交通局などとの相互利用も始まっています。おそらく来年あたりには、私鉄各社との相互利用も実現されるのではないかと思われますので、今後スマートフォンを購入されるなら、おサイフケータイ付をセレクトしておいたほうが確実に便利ですよ。

20111222_04.jpg

プロフィール

1967年東京都生まれ。携帯電話研究家、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部准教授。多数の携帯電話情報メディアの立ち上げや執筆に関わってきた。ケータイコレクターとしても名高く保有台数は1000台以上。近著に『図解入門業界研究 最新携帯電話業界の動向とカラクリがよ~くわかる本』(秀和システム)など。HPはこちら

木暮祐一オフィシャルサイト